スウェーデンなどの北欧諸国ではライフ・ワークバランスが非常によく、
家族との時間や個人の時間を大切にしているというイメージがあります。
実際に北欧諸国では国民の幸福度が高く、住んでみたいと思う人も多いのではないのでしょうか。
本記事ではスウェーデンに在住の私が
実際の働く環境や制度、仕事との向き合い方についてまとめました。
スウェーデンで働いてみたいと考えている人や働き方に興味のある人はぜひご確認ください!
スウェーデンでの雇用
まずは一般的なスウェーデンでの雇用がどんなものなのかをまとめました。
参考URL:
雇用契約
スウェーデンには3つのタイプの雇用形態があります。
| 雇用形態 | 内容 |
| 無期雇用(Tillsvidareanställning) | 期限の定めのない基本的な雇用形態。日本でいういわゆる正社員。 |
| 有期雇用(Tidsbegränsad anställning) | あらかじめ契約期間が決まった雇用。あるプロジェクト単体、育休代替などその理由も明記。 |
| 試用雇用(Provanställning) | 無期雇用の前にある試用期間。一般的には6ヶ月で、期間中特に問題なければ無期雇用に移行。 |
いずれも日本でも聞き馴染みのあるものですね。
どのような雇用であっても、どのような職種で何をすることが求められているのかが
明確に契約書に記述されています。
仕事の範囲があらかじめはっきりと明文化されており、認識の不一致がなくなる上、
予定になかった業務を会社から急に追加されるということもなくなります。
週40時間労働で、基本的には残業はありません。
もちろん残業自体は存在しますが、例外としての立ち位置で特別な事情がある場合にのみとなります。
私自身も上司との最初の面談で残業はしないよう言われました。
むしろ時間内に終わらないということは業務量に問題があるはずだから、
そのときは遠慮なく相談して欲しいという旨の内容を伝えられました。
もちろん、仕事の繁忙期や突発的な業務が発生することもあるので残業は必要なときもあります。
その際にも残業代が発生するのではなく、翌日以降に早く帰るなどして
トータル週40時間になるよう労働時間を調整する形をなるべくとっていました。
また、雇用主との合意の上で在宅ワークもある程度なら認められていることが多いです。
私の会社でもデスクワークが中心で出社の必要がなければ1日中在宅ワークをすることも可能ですし、
通院や子どもの送り迎えがあるために早めに帰宅して
家で残り作業をするといったことが容認されています。
業務で成果を出していれば働く場所や時間は従業員の裁量に任せる
といった考えが普通の考え方といった印象を感じています。
休暇
有給休暇は最低でも25日/年 与えられます。(法律で保障)
実際は30日/年 程もらえる印象をもっています。
このうち3-4週間ほどを夏休みに使う人がほとんどで、
イメージ通りの長くゆったりとした休暇を過ごせます。
使いきれなかった休暇の一部は翌年に繰り越すことが可能ですが、
それ以外は雇用主が買い取るという形が多いです。
ただしそこはお金よりも時間を重視する文化で、期限までに使い切る人が大半です。
労働組合
スウェーデン社会において労働組合は非常に大きな存在です。
会社内の代表といったような職場単位での組織ではなく、職種ごとに分けられています。
同じ会社の同僚でも職種が違えば所属する組合も変わってくるということになります。
組合への参加率は約70%と非常に高いです。(日本は16-17%)
労使関係を決める非常に重要な存在で、労働条件や休暇制度をはじめ、育休の待遇条件など
労働契約におけるあらゆる面を雇用主と協議してくれます。
給料交渉や昇進など、あらゆる面において会社は労働組合との協議をし、合意を得る必要があります。
失業した際にも失業手当や再就職のサポートをする制度や組織にもこの組合が深く関わっています。
解雇や転職
スウェーデンには終身雇用制度はありませんが、それでも労働者の雇用はかなり安定しています。
労働者を解雇するには「正当な理由」が必要であり、
法律によって下記のことが義務付けられています。
- 業務改善の事前警告
- 労働組合との協議
- 解雇が決まっても最終日まで一定の期間を設ける
「ある日起きたら解雇通知が来ていて、すでにオフィスには入れなくなっていた」
みたいなことはスウェーデンでは起こりません。
また、解雇された時にもセーフティーネットが労働者を支えてくれます。
不当解雇の際はその交渉のサポート、失業手当の給付、再就職のサポート、就職のための教育など
失業者をサポートする機能が充実しています。
経営上の解雇の場合にも、組合との協議の上人選が行われます。
この際の解雇において、基本的には「Last in, First out」といった
「後から入社した人から順に解雇していく」といった原則があるようです。
その一方で、転職は一般的に行われています。
自身のステップアップのため、職種の変更のためなど
転職は労働者のキャリア形成のためとなり、前向きに捉えられています。
職種変更のための再教育も提供されており、
大人になってからの学び直しがやりやすい環境が整えられています。
職場の風土
スウェーデンの職場の風土にもいくつか特徴があります。
私の個人的な経験+友人から聞いた話が中心となりますが、
どのような雰囲気なのかイメージする助けになればと思います。
Fika(フィーカ)文化
何よりも欠かせないのがFikaです。
Fikaとはコーヒー(+お菓子)をお供にして会話を楽しむスウェーデンの文化です。
私の職場では毎朝早くにFikaを楽しみます。
週末の出来事やニュースの話、政治の話などどこでもよくあるような会話をしますね。
日本に行ったことのある人はその時の話をしてくれたりもします。
おしゃべりを通じてお互いのことをよく知る良い時間です。
フレキシブルな働き方
上記でも紹介した通り、スウェーデンではよりフレキシブルな働き方が広く浸透していると感じます。
勤務時間の目安はありますが、プライベート(子どもの送迎・通院・荷物の受け取り等)の都合で
会社での勤務を調整して、残りは家でやるといったことは普通です。
来る必要がなければ在宅ワークをすることもできます。
しっかりと成果さえ出せていれば細かい部分は柔軟です。
また、基本的に残業はせず、定時頃になるとすでにオフィスは空っぽという光景は至って普通です。
金曜日になるともっと早く、定時の30分-1時間前にはオフィスが空っぽになります。
もっというと金曜日は在宅勤務をする人も多い印象です。
なぜか金曜日は通勤電車がいつもよりも空いてて快適な気が。。。笑
こちらの人たちにとっては、金曜日は半分週末なんですかね。
一方で働く人はとてもよく働きます。
日本人から見ても、本当によく働く人はちらほら見かけます。
個人の裁量で、できる人ややりたい人はより積極的に働ける風土が整っているのでしょうね。
自己主張が大切
会社に限らず、スウェーデンでは「あなたは何をしたいのか」とよく聞かれます。
自分の人生をどのようにデザインしたいのか、やりたいことは何かということが重視されます。
ぼんやりと昇進したいとか、会社の成長に貢献したいとかではなく
自分は具体的に何を学んでどう成長していきたいかを教えて欲しいと問われました。
もちろんそれを考えるのは当然だし、人生を充実させるために非常に重要です。
しかし私はこのような問いかけを通して
「会社は私に何を求めているのか」「何をすれば周りのためになるのか」
ということをまず考える傾向にあるということに気づかされました。
組織の一員として秩序を守ることが美徳とされるの日本人ならではの傾向ですね。
このような問いには少し戸惑う人もいるかと思います。
もちろん、このような考え方によって日本は現在の素晴らしい国になったし
海外の方からの印象を非常に良いものにしていると考えています。
しかしこちらの風土に触れたことで、
自分の意思や考えを主張して周りに知ってもらうことの重要性に気付かされました。
チャンスがあれば紹介してもらえたり、サポートも得やすくなります。また逆も然りです。
だからこのような意思表示は上司にとっても、周りの同僚にとってもウェルカムです。
こういった風土があるので、転職やキャリアチェンジもポジティブに捉えられる傾向にあります。
まとめ
スウェーデン流の仕事との向き合い方についてまとめました。
日本人とは仕事に対する考え方が違い、困惑する部分もありますが非常に面白いです。
- 仕事は人生の一要素にすぎず、他にも大切なものがたくさんある
- だから仕事のために他の何かを犠牲にすることはない
- 最悪何かがあっても組合や国の制度がセーフティーネットとして支えてくれる
- Fikaでの交流は必須
- 個人の「何をやりたいか」「どうなりたいか」というのを重視
というのがスウェーデン流の向き合い方となっています。
日本で仕事に苦しんでいる人も、仕事を人生の中心から少しずらして
他の大切なことや自分自身にも時間を使えると少しは肩の荷が下りるのではないでしょうか。
もちろん、労働者にとって優しいということはある程度の不便は発生するということになります。
お店が早く閉まったり、荷物の配達が遅れたり、連絡が返ってこなかったり等はこちらでは普通です。
ある程度の不便を許容しながら、自分の時間を楽しむことが幸福につながっているのでしょうね。
以上スウェーデンでの働き方に興味がある人、移住を考えている人の参考になりますと幸いです!

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